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畳の知識を深めよう②~畳床編 畳床の種類と選定ポイント~

  • 2025.08.29

畳の知識を深めよう②~畳床編  畳床の種類と選定ポイント~

畳のリフォーム・新調工事では「畳表(たたみおもて)」に注目が集まりがちですが、実は畳の使い心地・耐久性・断熱性・施工性を左右するのは『畳床(たたみどこ)』の選定です。


今回は、畳の施工に携わるリフォーム業者の皆様に向けて、各種畳床の特徴・メリット・注意点をまとめてご紹介します。施工現場・施主のニーズに合った最適な畳床選びの参考にしてください。

藁床(わらどこ):本格和室・こだわり派に

特徴
伝統的な畳床。圧縮した稲藁を何層にも重ね、縫製して作られています。高級和室や茶室などに適しており、自然素材の調湿機能に優れます。

メリット✅

優れた調湿性

・稲わらが湿気を吸収・放出し、室内の湿度を自然に調整
・梅雨時のジメジメ感を軽減、冬場の乾燥対策にも有効

天然の断熱効果

・藁と藁の間の空気層が断熱材の役割
・フローリングに比べて冬場も足元が暖かい

化学物質を使用しない安心素材

・素材は稲わらのみ。シックハウス対策にも◎
・アレルギーや小さなお子さまにも配慮

優れた弾力性・クッション性

・足への負担を軽減し、長時間座っても疲れにくい
・万が一転んだ場合も衝撃をやわらげ、ケガをしにくい

自然素材ならではの香りと質感

・畳本来の香りでリラックス効果も期待
・高級和室や茶室などにも使用される格式ある素材

注意点⚠️

吸湿性が裏目に出る可能性も

・藁床は湿気を吸収しやすいため、換気が不十分な環境ではカビやダニが発生しやすい
・特に梅雨時や湿度の高い地域では注意が必要

高気密住宅では湿気がこもりやすい

・現代の住宅は気密性が高く、昔の家に比べて空気の循環が悪い傾向にある
・そのため、藁床が吸った水分を放出しきれず、内部に湿気がたまるリスクがある

こまめな換気や湿度管理が必要

・カビ・ダニを防ぐためには、定期的な換気や除湿器の使用などの対策が重要
・畳の裏返しや表替えなど、定期的なメンテナンスも求められる

藁サンド床:風合いと軽量化の両立

特徴
ポリスチレンフォームやボード芯材を藁でサンドした構造。藁床の感触を保ちつつ、施工の負担軽減・ダニ対策も意識されています。

メリット✅

軽量で扱いやすい

・伝統的な藁床に近い感触を持ちつつ、軽量化されている

コストパフォーマンスが高い

・藁の使用量が少なく抑えられているため、藁床よりも価格が安価
・防カビ・防ダニ性に優れる
・芯材にポリスチレンフォームやエコボードを使用
・湿気がこもりにくく、カビやダニの発生を抑制

断熱性がある

・ポリスチレンフォームの効果で、床冷えを防ぎ、快適な室内環境を保ちやすい
・湿気対策にも効果的
・構造上、畳全体が湿気で覆われることを防ぎ、畳の劣化やダニの繁殖を抑える

注意点⚠️

ダニの発生リスクがある

・一部の製品では、芯材に使用されるボードによりダニやチャタテムシが発生しやすくなる場合がある
・ポリスチレンフォームに比べて、防虫性がやや劣る点に注意

環境配慮と害虫リスクのトレードオフ

・以前はポリスチレンフォーム(断熱性・防虫性に優れ、非有害)が主流だった
・現在は環境への配慮からリサイクル可能なボードへ移行が進んでいる
・ボードの使用で、破棄時の環境負荷は軽減されるが、衛生面では注意が必要

湿度・換気による対策が必要

・ボード製の藁サンド床を採用する場合、こまめな換気や除湿対策でカビや虫の繁殖を予防する必要がある

Ⅰ型建材床:耐久・環境重視の現場向け

特徴
ポリスチレンフォームを使わず、インシュレーションボード(畳ボード)のみで構成。環境配慮や高耐久性を求める施設に最適です。

メリット✅

湿気に強く、ダニの発生を抑制

・吸湿性が低いため、湿気がこもりにくく、ダニの発生リスクが低い
・高温多湿な環境でも安心

優れた耐久性

・長期使用に適しており、へたりにくく型崩れしにくい

環境への配慮

・リサイクル素材としての側面もあり、環境にやさしい建材床

注意点⚠️

価格が比較的高い

・藁床や藁サンド床と比べて、素材コストが高め
・導入時の初期費用がやや上がる傾向にある

傷がつくと修理しにくい

・インシュレーションボードの耐久性は高いが、部分補修が難しい素材
・一部が破損した場合でも、全体交換が必要になることもある

軽さ・安さよりも性能重視向け

・防湿性・耐久性を重視するユーザーに向いている
・賃貸住宅よりも、永く使う戸建てや施設用途におすすめ

Ⅱ型建材床:コンクリ直敷きなど現場条件に対応

特徴
ポリスチレンフォームを最下層に配置し、ボードで挟んだ構造。コンクリート床に直敷きできる仕様で、マンションや集合住宅リフォームに対応。

メリット✅

コストパフォーマンスが高い

・大量生産が可能なため、藁床よりも安価
・集合住宅や賃貸物件などで採用されやすい

高い断熱性

・芯材にポリスチレンフォームを使用しており、冷えにくく快適な室温を保ちやすい
・冬場の底冷え対策にも効果的

優れた衛生面

・吸湿性が低いため、ダニやカビの発生を抑制しやすい
・清潔さを重視する住宅にも適している

軽量で施工がしやすい

・非常に軽く、畳上げや施工時の取り扱いが楽
・床板への負担も少なく、施工業者にとっても扱いやすい

工期短縮や省力化に貢献

・作業効率が高いため、工期の短縮やコスト削減につながる
・マンション・アパートなどの現場で広く活用

注意点⚠️

Ⅰ型やⅢ型に比べて耐久性が落ち、寿命が短い

・主にコスト優先の賃貸住宅などでの使用が多い

通気性に乏しい

・ポリスチレンフォームは通気性が低く、湿気がこもりやすい
・カビや結露を防ぐためには換気や除湿対策が必要

メンテナンス性にやや難あり

・張り替えや補修の自由度が低く、一部損傷時の対応がしづらい

Ⅲ型建材床:コスト・納期重視の現場向け

特徴
ポリスチレンフォームを中心に、上下をボードで挟んだ構造。価格・軽さ・施工性が魅力。

メリット✅

高い断熱性

・芯材にポリスチレンフォームを挟み込んでおり、冬場でも床冷えしにくい構造
・快適な室内環境を維持しやすい

安価かつ大量生産可能

・コストが抑えられており、賃貸住宅や集合住宅向けに導入しやすい
・生産ラインへの適応性が高く、安定した供給が可能

注意点⚠️

耐久性が低い・寿命が短い

・基本的に素材の特性上、へたりやすく劣化が早い
・傷や破損が生じた場合、修理が難しく交換が必要となることが多い

修理・メンテナンスがしづらい

・部分補修が困難で、ダメージが大きい場合は畳床全体の交換が必要

環境面での課題

・工業製品であるため、リサイクルが難しく環境負荷が高い傾向にある
・環境意識の高いユーザーには不向き

その他:近年の住まいのニーズに対応した「うす床」、「床暖房用床」

うす床(薄床)

うす床は、全体の厚みが15mm〜20mmほどの薄型仕様の畳床です。主にマンションやリノベーション物件など、床高に制限がある場所やバリアフリー仕様の空間に使用されます。

床暖房用畳床

床暖房との併用を前提に開発された畳床です。発熱体との相性を考慮し、熱が効率よく伝わるよう設計されており、熱による反りや変形、カビの発生を抑える素材で構成されています。専用の畳表や施工条件の事前確認が必要なケースもあります。

畳床の種類と特徴一覧

畳床選びはリフォーム成功のカギ

畳床は畳の見た目には現れませんが、快適さや耐久性、施工性に大きく影響します。藁床の自然な風合いから、軽量で扱いやすい建材床や薄床まで、それぞれにメリット・デメリットがあります。


リフォーム現場では、お客様のニーズや施工環境をしっかり把握し、最適な畳床を選ぶことが大切。重さや耐久性、施工のしやすさなどバランスを考えながら提案すれば、満足度の高い仕上がりにつながります。


キツタカは畳床の特徴を深く理解し、現場に合わせた柔軟な対応で、リフォーム業者様の力強いパートナーを目指します。
畳床選びでお困りの際は、ぜひご相談ください。

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